サハラ砂漠で英語がスムーズに出てこないことを悔やんだ話(後編)


きっと英語を勉強している多くの人が「あの時、英語でもっとスムーズに会話できていたら……」という体験をしたことがあるだろう。かくいう私も、アフリカ大陸モロッコのサハラ砂漠で悔やんだ経験がある。まずは前回の記事を簡単に「→」を使って説明したい。

サハラ砂漠のラクダ使いになるため現地で暮らすベルベル人に弟子入りをする → 「ラクダ使いの仕事」とは、世界中から訪れる観光客をサハラ砂漠の冒険旅行に案内すること → 無事に修行を終えて、私もラクダ使いデビュー → 中国人の団体客をラクダに乗せて砂漠を歩いている時 → 中国人たちが「おいおい、アジア人がラクダを引いているんですけど」とざわつきだす……と、ここまでが前編である。

アイアムジャパニーズ


いくら現地の衣装に身を包み、頭にターバンを巻いたとしても、明らかに私からアジアオーラが出ていた。中国人約20人に対してラクダは4頭、ラクダ使いも4人。モロッコ人、モロッコ人、モロッコ人……からの日本人である。たしかに違和感はあるハズだ。果てしなく広がる砂の大地にも見慣れた頃なのか、ラクダに揺られて気分上々の中国人から質問が飛んできた。「すみません、あなたはどこの国の人ですか?」

──それまで、英会話を楽しむことができない私は、ただただ前を向いて歩いていた……のだが「どこの国の人ですか?」は、どう考えても私への質問である。ラクダの鼻息しか聞こえない静かな砂漠では、一言一言が死ぬほどクリアに聞こえるため “聞こえないフリ” で逃げるわけにはいかない。いやむしろ! 世界中の人とコミュニケーションを取って仲良くなりたいという気持ちでサハラに来たハズなのに、英会話(中学1年レベル)の質問でビビるわけにはいかないのだ……! と、頭の中は大忙し。

そんなこんなで、ブルゾンちえみの「35億」ばりに、ためにためて振り返ってからの「アイアムジャパニーズ」。答えた私が顔面真っ赤っ赤で、スマホ留学の『TDFC』を全く使いこなせず会話は終了してしまった。それでも前編でもお伝えした通り、日本人特有の「勤勉さ」と「おもてなし精神」が観光客のハートをつかむと信じて接客するしかない……とは言っても、やはりコミュニケーションできないことに対するモヤモヤはすごいのだ。悔しいィィィイイイイ! そんな時だった。

あの時もっと英語で話せていたら……!


サハラ砂漠の地平線に沈む夕焼けをボーっと眺めていた私のもとに、1人の女性が近づいてきた。「あなたは親切でとても良い人です

ラクダの鼻息しか聞こえない静かなサハラ砂漠では、一言一言がクリアに聞こえる。母親と同じくらいの年齢だろうか。仕事を退職したばかりで、若い頃から憧れていたサハラ砂漠に来たのだという。「あなたは日本にいる母親と連絡を取っていますか?」「え、ええっと……イエス」

1対1だと、たとえ英語が苦手でも、お互いに言いたいことが何となく伝わる。会話はほんの数分だったが、困った時はスマホを取り出し、言いたいことを文字で打って相手に伝えた。

私のことは中国のお母さんだと思ってね。もし天津に来ることがあれば連絡してください」砂漠に沈む夕日を眺めながら母親の顔を思い出す。今まで1度もホームシックになったことはなかったが……おいおい、まさかサハラ砂漠でホームシックになるとは。

その後、女性から名前を教えてもらい「いつか再会しましょう」という流れに……。電話番号や住所を聞けばスムーズなのだが、なんとなくナンパみたいになってしまうのが嫌で、名前を聞くのが精一杯だった。「テレフォンナンバープリーズ!」を言う雰囲気ではない。

ただやはり、調べてみると中国の人口は13億を超えているらしい。中国のお母さんの手掛かりは名前オンリーか……果たして再会はできるのだろうか。あの時もっと英語が上手だったなら、スマートに連絡先を交換できたかもしれない。

──ちなみにその数日後、今度はスペイン人のキレイなお姉さんに「あなたのことをもっと知りたい」と言われたが、またまた会話のラリーがうまくいかず「英語の勉強を本気ではじめますか」と決意したことは一応記述しておこう。

というわけで、年末大忙しの今日も、空いた時間で英語の勉強。今年はどうもありがとうございました。来年も色んな物語を紹介したいと思います。2018年もよろしくお願いします!

※TDFC の著作権は株式会社 Nextep に帰属します。私的かつ非商業目的で使用する場合、その他著作権法 により認められる場合を除き、 事前に株式会社 Nextep の書面による許可を受けずに、複製、公衆送信、改 変、切除、お客様のウェブサイトへの転載等の行為は著作権法により禁止されています。
Copyright(c) Nextep Co. Ltd. All rights reserved.

こちらもどうぞ! → 「砂漠物語

・スマホ留学で私たちと一緒に勉強しませんか?「無料レッスン」公開中です!